マンションの宅配ボックスで、「荷物が入っていないはずなのに扉が施錠されたまま」という状態を見かけたことはないでしょうか。このように、空のボックスがロックされて使えなくなる状態は「空ロック」(空占有・空押さえ)と呼ばれます。
空ロックが起きると、その分だけ使えるボックスが減り、ほかの入居者が荷物を受け取れなくなります。放置すれば満杯・再配達の増加や入居者の不満につながり、場合によっては不正利用の温床にもなりかねません。
この記事では、宅配ボックスの空ロックが起きる原因、見つけたときの対応手順、そして管理組合・オーナーができる防止策を解説します。
空ロックとは、宅配ボックスの中に荷物が入っていないにもかかわらず、扉が施錠されて誰も使えなくなっている状態のことです。外から見ると「使用中」のボックスと区別がつかないため、気づかれないまま放置されやすいのが特徴です。
空ロックが起こりやすいのは、配達員などがその都度暗証番号を設定して施錠する機械式(ダイヤル式・暗証番号式)の宅配ボックスです。機械式は電源や配線が不要で導入しやすい一方、扉を閉めて番号を設定すれば、荷物の有無に関係なく施錠できてしまう仕組みになっています。
空ロックの原因はひとつではありません。物件の状況によって考えられる原因を把握しておくと、対策を選びやすくなります。
空のボックスの扉を閉めて適当な番号で施錠するだけで空ロックは起こるため、子どもの遊びや外部の人のいたずらが原因になることがあります。エントランスの外側など、居住者以外も近づける場所に設置されている宅配ボックスは特に注意が必要です。
宅配ボックスを自分の物置き代わりに使う「私物化」も、ボックスが塞がる原因になります。さらに悪質なケースでは、外部の人物が暗証番号式のボックスを無断で使い、物の受け渡しや保管に悪用した事例も報じられています。外からは中身が見えないため、「空ロックだと思っていたら不審な物が入っていた」という可能性も否定できません。
宅配ボックスの操作方法は製品ごとに異なるため、配達員や入居者が操作を誤り、荷物を入れないまま施錠してしまうケースも考えられます。東急リバブルの解説記事でも、配達員のなかには宅配ボックスの操作に不慣れな人もいると指摘されています。入居者が荷物を取り出したあと、扉を元に戻す際に施錠してしまうといった誤解も起こり得ます。
不動産投資サイト「健美家」に掲載されたオーナーのコラムでは、所有物件で空ロックが繰り返し起き、毎回同じ暗証番号が使われていたことから、荷物を入れずにボックスを施錠し「配達済み」として処理されたのではないか、という見方が紹介されています。原因を特定できるものではありませんが、空ロックが続く場合は、発生のパターンを記録しておくことが原因究明の手がかりになります。
空ロックは「ボックスが1つ使えないだけ」と軽く見られがちですが、放置すると次のような問題につながります。
宅配ボックスは入居者の満足度や物件の印象に関わる共用設備です。空ロックを早めに見つけて解消できる体制を整えておくことが、設備の価値を保つことにつながります。
入居者から「ずっと施錠されたままのボックスがある」と連絡を受けたときや、巡回で空ロックらしきボックスを見つけたときは、次の流れで対応するとトラブルを避けやすくなります。入居者が自分で無理に開けようとすると故障や事故の原因になるため、入居者には管理会社・管理組合へ連絡してもらうよう周知しておきましょう。
どのボックスが、いつ頃から施錠されているのかを記録します。巡回のたびに確認しておけば、施錠が続いている期間を把握できます。同じボックスや同じ時間帯で繰り返し起きていないかも、あわせて確認しておきましょう。
空ロックに見えても、実際には入居者宛ての荷物が入っている可能性があります。掲示板などで「施錠されたままのボックスについて心当たりのある方は連絡してください」と呼びかけ、一定期間様子を見ます。
心当たりのある人がいない場合は、管理者が解錠して中身を確認します。機械式の宅配ボックスには、管理者用の非常開錠キーなどで強制的に開けられる製品があります。ある暗証番号式宅配ボックスの取扱説明書でも、中身がない状態で施錠されている場合や、長期間荷物が残っている場合、不審物がある場合は、非常開錠キーで開けて確認し、適切に処理するよう案内されています。解錠の手順は製品によって異なるため、必ず取扱説明書やメーカーの案内を確認してください。
解錠時は、複数人で立ち会い、扉を開ける前後の状態を写真で残しておくと、後日のトラブル防止に役立ちます。
荷物の所有権は受取人にあるため、中身が入っていた場合に管理組合の判断だけで処分すると、トラブルになるおそれがあります。滞留荷物の扱いについては、管理規約や使用細則にルールを定めておくと対応がスムーズです。
空ロックは、起きてから対応するよりも、起こりにくい環境をつくることが大切です。物件の状況に合わせて、次のような対策を組み合わせましょう。
宅配ボックスの近くに「荷物を入れずに施錠しないでください」「私物の保管は禁止です」といった掲示をしておくと、いたずらや私物化の抑止につながります。あわせて、空ロックを見つけたときの連絡先を明記しておけば、入居者からの報告も受けやすくなります。
宅配ボックスの周辺を防犯カメラで撮影できるようにしておくと、いたずらや不正利用の抑止になり、空ロックが起きた際の状況確認にも役立ちます。「防犯カメラ作動中」の表示を目立つ位置に掲示するのも効果的です。外部の人が近づきやすい場所に設置されている場合は、オートロックの内側など、居住者や管理者の目が届きやすい場所への移設も検討しましょう。
管理員や管理会社の巡回時に、施錠されたままのボックスがないかを確認する項目を加えておくと、空ロックの早期発見につながります。同じボックスで施錠が何日も続いていれば、空ロックや長期滞留の可能性が高いと判断できます。
このサイトでは、設置目的に合わせた宅配ボックスメーカー・設置業者の選び方について解説しているので、参考にしてみてください。
空ロック対策として宅配ボックスの入れ替えや増設を検討する場合は、機能だけでなく物件全体の条件をふまえて判断しましょう。
建物の構造や共用部のスペースによって、設置できる製品や工事の内容は変わります。現地の状況を確認したうえで、物件に合った製品を提案してくれる業者に相談すると安心です。
宅配ボックスの空ロックとは、荷物が入っていないのに施錠されて使えなくなる状態のことです。いたずらや私物化、操作ミスなどが主な原因で、外から見ただけでは使用中のボックスと区別がつかないため、放置されやすい点に注意が必要です。
空ロックを見つけたら、状況を記録し、入居者に心当たりを確認したうえで、管理者が立ち会って解錠・確認するのが基本です。中に荷物が入っていた場合は、勝手に処分せずに宛先の入居者に連絡しましょう。
建物の戸数やタイプによって入居者の生活スタイルも異なり、宅配ボックスに求める利便性も異なってきます。宅配ボックスには多種多様な種類・機能があるので、入居者の生活シーンを考えて適切な製品とメーカーを選びましょう。
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