近年、宅配便の取扱量は増加し、再配達による負担が社会問題として注目されています。特にマンションでは不在時の受け取り手段が限られ、再配達率の高さが課題です。本記事では国の取り組みや宅配ボックス設置の重要性を解説します。
国土交通省の調査によると、宅配便の再配達率は直近でも全体の約1割にのぼり、依然として大きな社会的問題。2024年10月時点では10.2%、2025年4月には8.4%と改善傾向はあるものの、なお膨大な件数が再配達されているのが現状です。
再配達はドライバーの労働負担を増やすだけでなく、CO₂排出の増加にも直結するため、国や事業者にとって解決すべき重要なテーマとされています。
参照元:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000908.html
多くの家庭では宅配ボックスが設置されていないため、不在時に荷物を受け取る手段が限られています。特にマンションでは宅配ボックスの数が不足し、利用希望者が集中すると荷物を入れられない、といったケースも少なくありません。これら各世帯の受取環境の不備は、再配達を招く大きな要因の一つとされています。
EC市場の拡大に伴い、一世帯あたりの宅配便利用は年々増加しています。注文が分散化し小口配送が多くなることで、在宅中に受け取れない荷物が増加。結果、再配達件数も拡大し、物流業界全体の負担を大きくしています。
配送の多くは昼間に集中していますが、昼間は、共働き世帯や単身世帯は不在になりやすい時間帯。夜間の配達を希望しても、地域によっては時間指定枠が限られていることも少なくありません。生活リズムと配送時間のずれは、再配達を生む大きな要因として指摘されています。
置き配の利用率は増えているものの、盗難やセキュリティに対する不安から利用をためらう人も少なくありません。また、集合住宅ではオートロックや共用スペースの制約により置き配が導入しづらいケースもあります。
受け取り方法の多様化が十分に進んでいないことも、再配達率が高止まりする要因です。
国土交通省は、宅配便の再配達削減を目的に「置き配」の標準化を進めています。標準約款に置き配を位置づけることで、全国で誰もが利用できる受け取り方法として普及させる方針です。
すでに実証実験やガイドライン作成が進行中。法制度化の議論も始まっています。
しかしながら、置き配には盗難や雨天時の破損といったリスクも残されていることから、確実に受け取る仕組みづくりが不可欠。その点、宅配ボックスの設置は効果的で、利用者に対して安心感をもたらすでしょう。
今後、マンション宅配における利便性と防犯性を両立させる仕組みとして、置き配と宅配ボックスを組み合わせた仕組みが一般化していくと予想されます。
宅配ボックスや置き配対応設備の導入にはコストがかかるため、大規模に置き配設備を備えることとなると、マンション管理組合にとっては大きな出費を避けられません。そこで国や自治体では、宅配ボックスの設置に利用できる各種の補助金や助成制度を整備。設備導入のコスト負担を緩和させることで、置き配設備の普及と一般化を目指しています。
これらの制度をうまく活用すれば、初期費用を抑えながら宅配ボックスを導入することが可能。結果として、再配達率の削減にもつながります。
なお、補助金制度は年度ごとに募集時期や対象要件が異なります。検討する場合には、最新の情報を確認するようにしましょう。
マンションや集合住宅に宅配ボックスを設置する際は、建物の規模や住民の利用状況に合わせた製品の選択が必須です。
製品の主なタイプは、エントランスに設置する大型共用タイプ、各住戸前に設けられる小型タイプ、シェア利用できるシステム型など。また、電気を使う電子認証式や、電源不要のダイヤル式など、機能面によるタイプの違いもあります。
まずは宅配ボックスの種類をよく理解した上で、設置スペースや導入費用、住民のライフスタイル等を考慮し、当該マンションに適切なものを検討して選択しましょう。マンションの特性に合った宅配ボックスを導入こそが、住民の利便性向上と再配達削減につながる重要なポイントになります。
宅配便の再配達率は依然として高く、物流業界の負担や環境への影響から改善が強く求められています。国土交通省は置き配の標準化を進めていることから、今後は誰もが利用できる受け取り方法として広く普及していくことでしょう。
しかしながら、置き配には盗難や天候の影響といった課題もあるため、確実に荷物を受け取るには宅配ボックスの設置が欠かせません。マンション管理組合は早めに導入を検討し、置き配標準化の流れに備えることが重要です。
当サイトでは、宅配ボックスの設置に特化した情報をまとめています。詳しく知りたい方は、ぜひ以下のページからチェックしてみてください。
建物の戸数やタイプによって入居者の生活スタイルも異なり、宅配ボックスに求める利便性も異なってきます。宅配ボックスには多種多様な種類・機能があるので、入居者の生活シーンを考えて適切な製品とメーカーを選びましょう。
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